CopyRight 1999.12.25
建築工房 N 設計
「秋住」欠陥住宅の調査
 98年の春、仲間の建築家と八街にある秋田県木造住宅の工事による住宅の調査に行きました。現地は周りが田んぼで、埋立ててからすぐ工事を行なったとのことでした。雨漏りがあり、前の道路にトラックが通ると大きく振動するとの話しを聞き、さっそく調査開始。

 外回りは、基礎や外壁に小さいひび割れがあります。室内は、部屋の隅にスキ間があったり床が少し傾いていました。

 一通り見える所を調査した後は床下や屋根裏に入り調査します。床下は湿気が多く、かなりかび臭く、実際地面一面や束(床を支える垂直の木)にカビが生えていました。

 屋根裏にも上がり調査したのですが木の構造自体はマスコミで取り上げられているような手抜きはなく、床や柱の傾きもそれほど大きなものではなく、一般的な工事が行なわれていました。

 問題は、田んぼを埋立ててすぐ住宅を建てたことです。そんなに大きなひび割れには至っていませんが、これから先進行することが予想されます。依頼者は非常に神経質になっており、少しでも気になる所は欠陥と結び付けてしまい、精神的にも大きな負担になっています。調査報告書をもとに裁判に訴えるとのことでしたが、現状の状態では難しいのではと思いました。

 こういう住宅を買い住まわれた方は非常に不幸で建築の世界に居る一人として憤りを感じますが、買われる時にもう少し注意できなかったのでしょうか。売る側の「大丈夫ですよ」の言葉を素直に受け止めたのでしょうか。後日、近所の大工さんに聞いた話しですが、周りの人たちは誰もあんな所は買わないよと噂してい たとのことです。みなさんもご注意を。